1株単位銘柄に投資する注意点

株式会社サヤトレの増田です。

先日、業種別ETFのロングショート戦略の例を
ご紹介した際に、お客様から貴重な
ご意見をいただきました。

【参考記事】

いただいたご意見をもとに、本日は
「単元株」をテーマにお届けします。

個人投資家が注意するべき点もあるので
ご参考にしていただければ幸いです。

単元株とは、「株式取引で売買される売買単位」です。

単元株は、会社が自由に決めることができるので
1単元の株数は会社によって異なります。

これまでの過去の上場企業は1単元が
「100株」と「1000株」が一般的でした。

しかし銘柄によって100株単位の銘柄と
1000株単位の銘柄が異なって存在しているのは
個人投資家だけでなく証券会社にとっても非常に面倒です。

そのような経緯と少額から投資をスタート出来る目的もあり
東証の主導で株式の売買単位は全て「100株」に統一を進めています。

2016年7月1日付けで74.6%の銘柄が
100株単位に修正されており、将来的には
全ての企業が100株単位に修正される事でしょう。

【参考記事】東証 売買単位の統一
http://www.jpx.co.jp/equities/improvements/unit/04.html

1000株単位から100株単位のように小さくなる事で
個人投資家にはメリットとデメリットがあります。

一番大きなメリットは、これまで投資金額が多くて
投資出来なかった銘柄に小額で投資が出来るようになる事です。

例えばキッコーマン(2801)の株式に投資したい場合
キッコーマンは1単元=1000株単位ですので
最低投資するに必要な投資資金は368万円かかります。

キッコーマンの株価(3680円)×1単元(1000株)=368万円

もし今後キッコーマンの売買単位が100株に修正された場合は
最低投資金額が10分の1になり約37万円と少額で投資が可能です。

これまで資金不足で投資出来なかった銘柄に
投資できるようになる事は、個人投資家にとって
大きなメリットといえるでしょう。

しかし単元株の単位が少なくなることでデメリットもあります。

単元株を少なくするという新しいルールが採用されたにも関わらず
その他の面で従来のルールが適応されていて、個人投資家にとって
不利になっているのが信用取引におけるルールです。

例えば、信用取引の空売り規制が代表的です。

信用取引の空売りでは、「51単元」以上の
信用新規売り注文を直近公表価格以下で
発注することを禁止しています。

ここで重要なのは禁止しているのは
「株数」でも「投資金額」でもなく
「51単元」という縛りです。

【イメージ】
■1単元=1000株の場合は5万株までOK

■1単元=100株の場合は5000株までOK

つまり、ほとんど100株単位になることを考えた場合
5000株以上の空売りが非常にやりにくくなってしまうのです。

キーエンス(6861)のような一流企業の場合、
株価が74,140円ですので、1単元(100株)でも投資金額は
約740万円ですので51単元の規制にかかる事はないでしょう。

【参考記事】

しかし株価が100円以下のような銘柄で
1単元が100株の場合は50万円以下の空売りでも
規制の対象になってしまうケースもあるのです。

これはサヤ取り投資家にとって不利な制度でしょう。

その他にも信用取引の権利付き最終日を跨いだ後の
名義書換手数料なども単元株単位で管理されています。

単元株が少なくなるほど手数料の負担が大きくなってしまうのです。

加えて最近では株式分割も多いので追い打ちです。

そしてこの単元問題で最も厳しいのが昨日ご紹介した「ETF」です。

【参考記事】

なぜならばETFの単元は1単元が1株単位の銘柄があるからです。

つまり1株単位の銘柄であれば51株の空売りで規制の対象になります。

株価が小さい場合は余裕で制限に引っかかるでしょう。

信用取引の買い保有で発生する名義書換料は
ETFの場合は株式の10分の一に優遇されて
売買単位あたり一般的には税込5.4円となっていますが
それでも1株単位の場合は株より10倍不利になります。

1株単位のETFを信用買いで100株保有した場合
投資金額にかかわらず540円かかるというわけです。

【参考記事】名義書換料とは
http://www.live-sec.co.jp/comFaqDetail.htm?tid=216

1株単位の銘柄の信用取引は、権利付き最終日を跨ぐと
不利になるケースがあるのでご注意ください。

ここまで読んで、投資が分かる方であれば
1単元単位でルール設定を行うことはおかしいと
考える投資家もいるのではないでしょうか?

50万円以下少額の空売りで規制にかかるとか
おかしいと思うのは私だけでしょうか?

空売り規制は「単元」でも「株数」でもなく
「投資金額」単位で行うべきだと私は考えています。

売買単位を100株に統一するルール変更があったのであれば
単元単位でコストや規制もルール変更していただきたい考えです。

小額で投資が出来るようになる分、個人投資家の数が増える事で
株主総会の通知など郵送コストの管理料などが新しく発生してしまいます。

誰がいつ何株持っているかを管理している
証券保管振替機構(ほふり)の運営も大変になるでしょう。

そのようなコストは全て巡り巡って
誰かが(投資家が)負担する事になるのです。

ここ数年の証券税制含めて投資家に不利になる
ルール変更が少しずつ増えてきています。

単元株が100株や1株のように少なくなって
コストが増加するなど普通の個人投資家は気づきません。

逆に、気付いた賢い個人投資家達が声を大きくする事で
投資家に優遇されるルール変更に動くかもしれませんね。

日本の個人投資家の金融リテラシーが上がれば
投資環境は今よりもよくなり日本の金融ビジネスの
平均レベルも高くなると私は考えています。

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